あらすじ

父が死ぬ三日前、僕は奇妙な言葉を聞いた。 「月を盗む方法を知ってる?」 病室の窓から見えるのは、いつもの月。 けれど父は、それを盗む方法があると言った。 「簡単だよ。誰にも見せなきゃいい」 その夜、僕は屋上から月を撮影した。 そして翌朝、空から月が消えた。 写真の中にだけ残った月。 誰にも見せることのできない、僕だけの月。 それから十年。 僕は毎晩、月の写真を撮り続けている。 満月も、三日月も、赤い月も。 誰にも見せず、誰にも触れさせず。 なぜなら、父との約束があるから。 けれどある夜、娘が窓を開ける。 「パパ。今日、お月さまないね」 その言葉を聞いた瞬間、僕は気づく。 父が僕に残したもの。 僕が十年間守り続けてきたもの。 そして、本当に「盗まれていた」ものの正体に。 これは、月を盗んだ男と、 その月を返すことになる少年の、 十年越しの小さな物語。

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エブリスタ2026/08/26
  • 現在の作品月を盗んだ日