あらすじ

八月の終わりだというのに、異常な酷暑が続いていた。 六十歳の私は、仕事を求めてハローワークへ通い続けていた。年齢という壁に阻まれ、何度応募しても不採用。老後に待っていたのは、安らぎではなく、社会から必要とされない孤独だった。 そんな帰り道、交差点で五歳ほどの男の子が私を指差した。 「あのひと、死ぬよ」 翌日、男の子は再び現れた。 「まだだよ」 その日から、街の人々がおかしくなっていく。白目を剥き、笑いながら私を見つめる人々。誰もいない駅。乗客全員が白目を剥いて笑う電車。そして、私を待っていた古いトンネル。 そこは「鬼門」だった。 逃げ込んだ先で待っていたのは、妻、ハローワークの職員、そして鏡の中の自分。 やがて私は知る。 八月三十一日は終わらない。 一人が外へ出れば、一人が中へ入る。 誰も死なない。 誰も救われない。 次の一人が見つかるまで、永遠に――。

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エブリスタ2026/08/26
  • 現在の作品『八月三十一日の鬼門』