あらすじ
「君は王妃に向いていない」
婚約者だった王太子レオンから、そう告げられた公爵令嬢エレナ。
彼が選んだのは、聖女ミレイアだった。
婚約を破棄され、王宮を追われたエレナは、北方の荒れ果てた領地へ向かう。
そこで待っていたのは、厳しい寒さと貧しい領民、そして誰からも見捨てられた元王太子レオンだった。
すべての地位を失い、落ちぶれた彼は、エレナの前で頭を下げる。
「どうか私を、あなたの侍従としてお側に置いてください」
かつて自分を見下し、捨てた男。
そんなレオンを、エレナは簡単には許せない。
それでも彼を侍従として受け入れ、共に北方領の再建に挑むことになる。
商業、農業、交易路――。
エレナは持ち前の才覚で領地を発展させ、誰もが見捨てた北方領を王国屈指の繁栄地へと変えていく。
一方レオンは、華やかな王太子時代には知らなかった「人の痛み」を知り、泥にまみれながら少しずつ変わっていく。
やがて彼は、もう一度エレナの隣に立つため、王都へ向かうことを決意する。
王太子の座を取り戻すためではない。
――自分がかつて壊したものから、今度こそ逃げないために。
そして帰還したレオンに、エレナが告げた言葉は意外なものだった。
「明日から……侍従を辞めてください」
拒絶されたと思ったレオン。
しかしエレナが差し出したのは、別れの手ではなかった。
「私の後ろを歩く侍従ではなく――私の人生の、対等なパートナーとして。私の隣に立ってください」
かつて自分を捨てた男を、もう一度愛するのか。
それとも、過去の傷を抱えたまま別の道を選ぶのか。
すべてを失った元王太子と、自らの力で「北方の女王」と呼ばれるまでになった公爵令嬢。
これは、一度壊れた二人が、過去をなかったことにはせず、それでも自分自身の意思で再び互いを選び直す、逆転と再生の恋物語。