あらすじ
天野空は、三年間『アストラル・クロニクル』をやり込んできた。
ストーリー、隠しダンジョン、NPCの会話、アイテムの説明文まで把握した、いわゆるガチ勢だ。
そんなある夜、ゲーム内のNPCが、存在するはずのない言葉を口にする。
『――世界の外にいる者へ』
そして画面には、
『どうか、私たちを見つけて』
というメッセージが表示された。
次の瞬間、空はゲームそっくりの異世界へ転移してしまう。
そこは間違いなく『アストラル・クロニクル』の世界。
これまで千時間かけて覚えた知識があれば、未来を知る自分は圧倒的に有利――
そう思っていた。
だが、すぐに一つの異常に気づく。
ゲームには存在しない少女が、そこにいた。
少女の名前は――リナ。
そして彼女は、空にこう尋ねる。
「ねえ。あなたも、この世界の人じゃないの?」
ゲームを知り尽くした少年と、ゲームに存在しない少女。
二人が出会った瞬間から、本来存在しなかった物語が始まる。