あらすじ
大学を中退し、借金だけが残った増永。
コロナ禍で働いていた店まで潰れ、行き場を失った彼が見つけたのは、ひとつの求人広告だった。
「日給2万円、寮完備、入社祝い金180万円」
借金を返せる。
ただそれだけを考え、増永は食品メーカー「フードテックAGI」への入社を決める。
家財道具を手放し、私物のスマートフォンを預け、香川県の山奥へ向かった先にあったのは、工場というにはあまりにも巨大な場所だった。
住宅、病院、学校、警察、発電設備、通信施設。
生活に必要なすべてを内部に抱え、数千人が暮らす巨大工業都市。
外部から隔絶されたその場所で、増永は工場作業員として新しい生活を始める。
そして三年後。
香川県で発生した県議会議員への発砲事件。
警察に身柄を確保された容疑者の男は、かつて180万円の入社祝い金に惹かれて、この工場へやってきた増永だった。
なぜ、ただの工場作業員だった男は県議を撃ったのか。
巨大企業都市「フードテックAGI」の内部で、いったい何が起きていたのか。
これは、一つの求人広告から始まった物語。