あらすじ
人間とカミサマが共存する街――神無瀬市。
神無瀬第二高等学校に通う此花理乃には、奇妙な「権能」がある。
事件の現場に立つと、絡み合った謎の中から、真実へ続く一本の糸が見えるのだ。
権能の名は――「名探偵」。
本人が望むかどうかにかかわらず、事件のほうから理乃のもとへやってくる。
けれど、今回の事件は、これまでの小さな謎とは明らかに違っていた。
神無瀬市で相次ぐ、カミサマたちの失踪。
発生するのは決まって深夜。
潮の満ち引きと奇妙な周期を刻み、忘れられた古い唄によって「狭間」が人為的に呼び起こされている。
そして、その事件を辿った先に浮かび上がったのは、七十年前に壊滅したはずの秘密結社――**全日本神格化研究所、通称「日神研」**の影だった。
さらに神格鑑定局の内部にも、過去から続く不可解な痕跡が残されている。
局長・草間覚は、二十五年にわたって築き上げてきた「人間関係の地図」を疑い始める。
その胸には、人間を決して信用しない特級邪神・玉藻が棲みついていた。
一方、中央では環境大臣・鷹取直親が、神格鑑定局の解体を推し進めていた。
その傍らに立つ、正体不明の秘書――相楽。
局の内部事情を知り尽くし、政治家たちの判断を巧みに誘導するその男は、いったい何者なのか。
そして、七十年前に姿を消した「首謀者」の意志は、なぜ今になって再び動き始めたのか。
事件を追う少女。
過去を知る老人。
邪神を抱える局長。
異能行政を変えようとする政治家。
そして、そのすべてを静かに操る謎の男。
理乃がたぐり寄せた一本の糸は、やがて神無瀬市だけでなく、人間とカミサマの共存そのものを揺るがす真実へと繋がっていく。
――これは、終わりの始まりを見つけてしまった「名探偵」の物語。