あらすじ
あらすじ
東京近郊の高校に赴任したばかりの生物教師・里山育生は、白神山地での植物採集中に迷い込んだ石室で、二つの奇妙な存在と出会う。
一つは、楓の盆栽に宿った江戸の国学者・平田半兵衛篤胤。
もう一つは、東国の葛の根を束ねる怪異の長・白神葛葉。
三百年の時を超えて現代に甦った二人を抱えながら、里山は東京郊外の高校で生物を教える日々を送ることになる。
江戸の学者は新幹線を「紅蓮の龍」と見まがい、コンビニのおにぎりに感動し、スマホを「賢い遠耳からくり」と呼ぶ。怪異の長は温室に根を張り、学校の植物たちと密かに言葉を交わす。
そして高校の温室には、ドクダミの少女・蕺(しぶき)、孤独なヤブガラシ、実学の鬼・青木昆陽のイモ爺まで集まりはじめ……。
植物観察同好会の女子高生三人組----桜庭ほのか、楠木ひかり、稲叢みのり----を巻き込みながら、里山たちは今日も怪異と向き合う。
これは、鉢の中の江戸と、草木の記憶、そして現代の高校が交差する、ちょっと賑やかな植物怪異譚。