あらすじ
ドラケンホルム第三外壁の増築をめぐり、一人の老人が市参事会へ提出した意見書『第三壁諫言』。
第一壁は戦争から町を守った。
第二壁は増え続ける人々を町へ迎え入れた。
では、第三壁は何のために築かれるのか。
交易、土地、威容、そして安全。
発展を理由にさらなる城壁を求めるドラケンホルムに対し、著者は古い聖典や過去の戦乱を引きながら、その先に生まれる貧民窟、信仰の衰退、そして「壁の影」に入り込む魔女について警告する。
これは都市の未来を見通した先見の書だったのか。
それとも、変わりゆく町を受け入れられなかった老人の諫言にすぎなかったのか。
本稿では、現存する『第三壁諫言』の邦訳に、内容を平易に読み解いた訳、および作中に登場する宗教・歴史・古語についての訳注を併録する。