あらすじ
水の都と呼ばれる国・ウンディーネ王国。
この国の貴族の間では口に出すことを禁じられている話がある。
“あの事件”
そう呼ばれている事件。これだけでこの国の貴族たちには伝わる話だ。
過去、卒業パーティーの場で、婚約破棄を宣言した男がいる。普通は貴族でいられなくなるその愚行を、宣言された令嬢は許した。
愚行のせいで窮地に立たされる領民が可哀想だと「解消」扱いとし、廃嫡も望まず、自身が再度婚約を結べた際には男の婚姻も望んだ。卒業パーティーの場で愚行を図った貴族令息の末路としては何も失っていない。そんな事件。
これが何故口に出すことが禁じられているか。
何も復讐がないから、怖い。
恐ろしくて口にしたくもない。聞きたくもないのだ。
だって…
公の場で婚約破棄なんて宣言されたら…それ相応の対応をするのが貴族だから。