あらすじ
伯爵令嬢エリシアは、午前零時を迎えるたび、すべての人の記憶から消える。
彼女だけが昨日を覚え、手紙や日記だけがその存在を証明する。
四度目の朝、六年を共にした婚約者ダミアンは告げた。
「毎朝お前を愛し直すほど暇ではない」
婚約も、家も、居場所も失ったエリシアへ、一日だけの客室を差し出したのは王弟サイラスだった。
だが翌朝、サイラスも当然、彼女を忘れていた。
薄青い手紙を読んだ彼は、蜂蜜をこぼしながら言う。
「はじめまして。昨日の私は、あなたを愛していたそうです」
そして、自分の目で彼女を見てから、もう一度問いかける。
「今日の私にも、あなたを好きになる機会をいただけませんか」
忘れられる痛みから期待を捨てた令嬢と、昨日の自分に嫉妬しながら毎朝彼女を選び直す王弟。
積み重なる恋文と結び目が呪いをほどくとき、彼女は初めて、自分から「覚えられる明日」を選ぶ。
婚約破棄、毎朝更新される溺愛、元婚約者への明確なざまぁを描く、完全完結の異世界恋愛。