あらすじ
2070年代。
他人の人生を、生まれてから死ぬまで体験できる「人生レンタル」が当たり前になった世界。
27歳の小林直樹は、何気なく一人の人生を借りる。
そして、匿名で提供された「名無し」の人生に出会う。
普通の人の、普通の人生。
けれど、その人生の中に――一人の女の子がいた。
伊藤彩乃。
直樹は、彼女を知らない。
……知らないはずだった。
別の名無しを借りても、また彼女がいる。
違う人生。
違う時代。
違う人間関係。
それでも、彼女だけは同じだった。
やがて直樹は、自分自身が12歳以前の記憶を失っていることを知る。
そして思い出していく。
かつて自分と彩乃は、同じ小学校に通っていたこと。
あの日、二人はいつも通り別れたこと。
「じゃあ、また明日」
その明日は、来なかったこと。
これは、誰かの人生を生き続けた少年が、最後に自分自身の人生を取り戻す物語。