あらすじ
「結局、俺には人の真似しかない」
三枝直人、二十九歳。中堅メーカーの営業マン。
人の話を聞き、売れる営業マンのやり方を真似するのは得意。
けれど客の事情を考えすぎて、商品の欠点まで正直に説明し、ときには他社製品まで勧めてしまう。
「いい人だけど、営業には向いていない」
そんな評価のまま働いていたある日、直人は道路へ飛び出した子どもを助けようとして――見知らぬ青年と二人まとめて死亡した。
目覚めた先にいたのは、女神アウレリア。
「お二人まとめて異世界へ転生していただきます」
一緒に死んだ元引きこもり・朝倉湊。
人を救いすぎて消滅した元天使・レオニス。
そして、部下を守るため自分を犠牲にした元魔王・セレーネ。
妙な四人に与えられた使命は、現魔王ニクスの討伐。
直人が得たルーツは《複写》。
最初は、見た技や魔法を真似するだけの地味な能力――「人間符写機」とまで呼ばれる。
だが、その本当の力は違った。
相手の恐れを。
願いを。
弱さを。
そして、その人がなぜそう生きるのかを理解したとき――直人は、その魂に刻まれた《ルーツ》さえ完全に複写できる。
怖いから人を見続けた元ニート。
誰かを救わなければ自分の価値を信じられない元天使。
誰より強いのに、自分だけを守ろうとしない元魔王。
人の真似しかできないと思っていた営業マンが、三人の仲間を理解しながら進む異世界冒険譚。
そして直人は知ることになる。
人を理解することと、その人と同じになることは、まったく違うのだと。