あらすじ
「お前のような“泡沫の女”を、私の隣に置いておくわけにはいかない」
公爵令嬢レティシア・ド・アクアフォンテ――その正体は、水難で命を落とした本物の令嬢の身代わりとして、湖の水精霊が“泡沫”で象った仮初の存在。そして前世は、過労死した日本の水質検査員だった。
聖女の登場を機に、王太子から婚約破棄を言い渡されたレティシア。だが泣き縋ることも喚くこともなく、彼女はただ静かに微笑んで告げる。「わかりました。では、還らせていただきます」と。
誰も知らなかった。この五年間、王都の水源を毎朝浄化し、澄んだ水を守り続けてきたのが誰なのかを。役目を終えた泡沫が、光に還って消えゆく運命にあることを――。
ただ一人、その正体と献身を知る男がいた。辺境の竜人将軍ガレス・ヴォルドレイク。『辺境の黒竜』と恐れられる偉丈夫が、消えかける彼女を追いかけて走る。「お前が浄化した水で淹れた茶。あれが、俺の一日で一番の楽しみだった」
泥水に還る王都と、澄んだ辺境の清水。前世の水質知識と精霊の力を持つ転生令嬢が、本当の居場所と番を見つける――ざまぁと癒しの水質検査転生ファンタジー。