あらすじ
魔王城の門前で、俺は七度負けた。
八度目、仲間が三人とも死んだ。
勝てない。俺の剣は、魔王の娘リリスに一度も通らない。
だから俺は、剣を鞘に納めてこう言った。
「どうだ、一旦休んで、腹ごしらえでもしないか」
――勇者として勝てないなら、勇者をやめればいい。
唐揚げを八個食う魔王の娘。五千二十一歳。倒した相手から奪った金で奢ろうとするので、それはやめろと言ってやった。
順調だ。あいつは少しずつ、俺に心を許していく。
全部、計算通りだった。
三十日後、魔王は海を上げる。リリスはその左に立つ。
俺は笑い続ける。あいつが完全に無防備になる、その瞬間まで。