あらすじ
「そうです。毎日、同じ夢を見て」
そう語る女性への聞き取りから、調査は始まる。
女性が見るのは、知らない駅で電車を降り、地下へ続く階段を下りた先にある病院へ向かう夢。病院の受付では自分の名前を告げるが、なぜそこへ行くのかは分からない。
その後、別の被験者たちからも夢の聞き取りを行う。
彼らの夢にはそれぞれ細かな違いがあるものの、病院、地下、受付、自分の名前を告げるという流れが不自然なほど似通っている。
研究員は証言を並べ、その共通性に気づく。
明らかに、同じものを見ているように思える。
しかし、被験者同士に面識はなく、共通する体験や記憶も確認できない。誰かから夢の内容を聞いた形跡もない。
夢の内容が似ていることは確かだ。
だが、なぜ似ているのかを裏付けるものが、何もない。
偶然なのか、心理的な要因によるものなのか、それとも別の理由があるのか。
研究員は結論を出せないまま、聞き取りを続けることにする。
その時点ではまだ、この奇妙な共通性が何を意味しているのか、誰にも分からなかった。