あらすじ
長く生きれば、心は硬くなると人は言う。
時燼もそう思っていた。彼はあらゆる地を渡り、次々と神器を手にし、立ち止まることも、ためらうこともなかった。
浮桜島に辿り着くまでは。江奈という小巫女が、千年続いた長い夢から彼をそっと揺り覚ますまでは。
彼女は目を三日月のように細めて笑い、桜餅を作りたい、来年の桜を見たいと語った。
自分がすべてを奪いに来た相手だと、彼女は知らない。
やがて彼は立ち去った。彼女の剣と、封を開けられないままの桜飴を携えて。
それから毎春が来るたび、一つの問いが彼の心をよぎる――
千年も生きてきた自分は、果たして神器を集めていたのか、それとも後悔を集めていたのか。