あらすじ
太平洋戦争末期。
十六歳の上杉達夫は、特別攻撃隊員として鹿児島・知覧へ向かう。
死を前にして胸に浮かぶのは、育ててくれた君江への感謝と、亡き生みの母への想い。
そして知覧で出会った女学生・小百合との、あまりにも短く切ない純愛。
月の下で交わす言葉。
束の間の笑顔。
夕日に染まる野原。
帰ることのできない運命を背負った少年と、初めて淡い恋を知っていく少女。
戦争という時代の中で、それでも人は誰かを愛し、誰かを想い、幸せを願うことができるのか。
母を想う少年と、その少年を愛した少女。
限られた時間の中で二人が見つけた、小さな幸せとは――。
切なく、静かに心へ残る、涙を誘う純文学的な純愛物語。
あの日の夕日だけは、二人の心の中で時をとめていた。