あらすじ
「お前の魔法は、価値がない」――王太子にそう言い捨てられ、公爵令嬢セラフィーナは婚約を破棄された。彼女の力は"解呪"。攻撃も治癒もできず、ただ「他人の魔法を解くだけ」と、王宮でずっと見下されてきた地味な技能。
けれど、誰も知らない。真の解呪とは、術者よりも深く速く魔法の構造を読み切る、この国で最も稀有な頂点の術であることを。
追放が言い渡されたその瞬間、玉座の間の扉が凍りついた。現れたのは、王家すら頭の上がらぬ国境の守り手――"災禍の魔導侯"ディオン・ヴァレンハイト。数百年ぶりに王都に姿を見せた最強の魔導士は、震える王太子には目もくれず、まっすぐにセラフィーナへ手を差し伸べる。
「捨てるというなら、私がもらい受ける。――ずっと、君が欲しかった」
その頃、王家の血に眠っていた古の呪いが、静かに牙を剥き始めていた。それを解ける者は、国にただ一人。今しがた、彼らが自ら追放した令嬢だけ――。