あらすじ
「時間は積み重なる」絵を諦めた私と、砂時計を持つ君の十五分。
五月の雨上がり。放課後の教室で、海野美波は半年前に買った油彩セットの領収書を見つめていた。
自分の才能への絶望から筆を折り、美術部から逃げ出したあの日。
かすれゆく青い印字は、情熱を失った自分そのもののように思えた。
透の言葉と、静かに滑り落ちていく白い砂。
そのとき、窓から吹き抜けた冷たい突風が、美波の領収書を夕空へと連れ去ってしまう。
焦燥感に駆られ、夢中で駆け出した美波がたどり着いた場所で見たものは——。
挫折を知った少女が、ひとつのきっかけから再び歩き出すまでを描いた、静かで鮮烈な青春ストーリー。