あらすじ

異能には、必ず反動がある。 速く動けば、そのぶん身体が動かなくなる。 感覚を研ぎ澄ませれば、あとでまともに情報を処理できなくなる。 どんな異能者でも、使った力の代償からは逃げられない。 ――鳴海朔也を除いて。 彼の異能《後払い》は、本来その場で受けるはずの反動を、最大二十四時間だけ未来へ先送りできる。 痛みも、機能低下も、消えるわけではない。 ただ、今だけは払わなくていい。 だから戦闘中の朔也は強い。 身体の制御を限界まで引き上げ、感覚を研ぎ澄まし、必要なら身体が止めている出力まで使う。 普通の異能者なら反動で動けなくなる使い方を、彼だけは平然と重ねられる。 そして事件が終わった数時間後。 ペットボトルの蓋を上手く開けられない。 まっすぐ歩けない。 視界に入る情報を整理できない。 医療室へ運ばれ、翌日の仕事まで外される。 周囲からの評判は、 「短い現場なら強い」 「でも毎回壊れて帰ってくる」 「長くは使えない奴」 そんなところだった。 本人も、それでいいと思っていた。 未来の自分が困るだけなら、今助けられるものを助ければいい。 そんな朔也の働く異能危機対策の現場には、 彼の反動管理に頭を悩ませる医療スタッフ・白瀬由良、 安定した現場能力を持ち、朔也の身体の使い方を嫌う倉橋千景、 壊れた装備を通して朔也の日常を知っていく技術員・藤崎灯里たちがいる。 仕事をして、飯を食って、くだらない話をして。 事件が起きれば、それぞれが自分の都合と判断で動く。 だがある時、朔也の戦い方を見た敵が気づく。 ――こいつは、倒す必要がない。 戦わせればいい。 能力を使わせ続ければ、そのうち自分で動けなくなる。 これは、反動を消せない世界で。 今日の勝利のツケを、明日の自分へ押しつけ続ける男の話。

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カクヨム
カクヨム2026/08/26
  • 現在の作品異能のツケは戦闘後に。―反動を24時間だけ先送りできる俺は、今日も明日の自分を使い潰す―