あらすじ
直した礼装から二度も名を消され、「祝いの席に似合わない女」という評判だけを持たされた流しの礼装再生師ヴァランティーヌ。三度目の仕事は、王族を迎える祝宴まで三十六時間で、雨損した四十八着を救うことだった。洗浄、採寸、糸量の計算、八体の糸精との契約。一着の取り違えも許さず、染織伯家の跡取りマッテオと不眠不休で礼装を蘇らせる。だが祝宴直前、正式な修復札からまたも彼女の名が外されてしまう。完成品さえ残せば自分はいなくていいと思っていた縫製師が、その腕の傷も苛立ちも貧乏くさい工夫も知る人から、生涯ただ一人として選ばれるお話。