あらすじ

第一話 声のする盃 祖母の店には、いつも古い匂いがしていた。 黴びた匂い、と言ってしまえばそれまでだ。 けれど子どもの頃の俺には、それは不思議と嫌な匂いではなかった。 桐箱の匂い。 古い畳の匂い。 漆器の奥に残った油の匂い。 焼き物に染みついた土の匂い。 茶箪笥の引き戸を開けたときに、ふわりと立ち上がる、時間そのもののような匂い。 祖母はそれを、よくこう言っていた。 「古い物はね、息をしているんだよ」

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小説を読もう2026/08/26
  • 現在の作品ものの声を継ぐ者 古道具志乃奇譚