あらすじ
離婚を機に、中学二年生の息子・悠人を連れて実家へ戻った美咲。しかし悠人は、クラスのグループチャットで起きた出来事をきっかけに、学校へ行けなくなっていた。
元バス運転士で無口な祖父・正雄は、事情を知らず「学校くらい行け」と言い放つ。それは二十六年前、美咲自身が学校へ行けなくなった朝にも、父から言われた言葉だった。
ところが翌朝、悠人の部屋の前には、不格好なおにぎりが二つ置かれていた。添えられた紙には、正雄の字で「食える時に食え」とだけ書かれていた。
休むことを許せなかった祖父、息子を休ませることに不安を抱く母、止まったような時間の中にいる少年。毎朝のおにぎりを通して、不器用な三人が少しずつ互いの気持ちを知っていく。
乗れなかった便のあとにも、次の便はきっと来る。すぐに前へ進めない人と、その人を待つ家族を描いた現代のヒューマンドラマ。