あらすじ
「灯りなど、誰でも点けられるだろう」——その一言で、わたくしは離縁を申し出ました。
公爵家の夜は、わたくしが作っていました。燭台十二本、場所ごとに変えた芯の長さ。六年続けたその仕事は、費用が発生しないという理由で、どの帳面にも載っていません。
出ていくとき持ち出したのは、蝋燭ではなく木箱ひとつ。中には、三年前に亡くなった父が遺したものが入っています。
良い灯りは、三年寝かせた蜜蝋と、前の夏に刈った灯心草からしか作れません。——つまり、今から始めても三年かかります。
わたくしは何もいたしません。ただ、実家の工房をもう一度開けるだけです。
全22話・完結保証/ハッピーエンド。ざまぁは静かに、けれど確実に。
主人公は最後まで言い返しません。相手が自分で気づくまでを見届ける話が好きな方へ。恋愛要素は控えめです。