あらすじ
人々の噂や恐怖、そして信仰によって形作られる――怪異。
『怪音、異音の調査承ります』
そんな少し変わった看板を掲げる『乙葉私立探偵事務所』の所長、乙葉ゆずるには、普通の人間には見えないものが見える。
ある日、ネット上で奇妙な言葉が囁かれ始めた。
――あつおにおろな。
意味を知れば呪われるという、出所不明の奇妙な詩。
最初は誰かが作った、ただのネットロアに過ぎなかった。
だが、テレビで取り上げられ、人気声優がその名を口にし、動画サイトやSNSで拡散されるにつれ、人々はそこに意味を見出し始める。
考察され、設定を与えられ、語られ、恐れられる。
やがて、存在しなかったはずの怪異が形を持ち始める。
昔、怪異は長い年月をかけ、人から人へと語り継がれることで生まれた。
では、一晩で何万人もの人間が同じ噂を知る現代では――?
これは、言葉と音と人々の認識から生まれる『現代怪異』と、古くから怪異と向き合ってきた者たちの物語。
そして――
「あつおにおろな」
その言葉が声になった時、ただの都市伝説だったものが動き始める。