あらすじ
四十五歳の水沢佳乃は、夫の和真、高校生の娘・美緒、中学生の息子・陽太と、ささやかで温かな毎日を送っていた。ところが健康診断をきっかけに、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫のステージ3と告げられ、その日常は一変する。過酷な抗がん剤治療や脱毛、思うように改善しない病状に、心身ともに追い詰められていく佳乃。それでも、仕事を調整して寄り添う夫と、慣れない家事を引き受ける子供たちの不器用でまっすぐな愛が、彼女を絶望の淵から支える。家族に守られながら、佳乃は生きることの意味を見つめ直していく。失われかけた平凡な朝を、もう一度取り戻せるのか。目玉焼きの湯気に希望を託した、家族の愛と再生の物語。