あらすじ
九歳の少年ルゥには、家がない。
数年前に両親を亡くしてから、市場の雑用をしながらどうにか食べてきた。けれど、最後まで仕事をくれていた老商人が店を畳み、とうとう毎日の働き口までなくなってしまう。
読み書きはほとんどできない。
商売について知っていることも少ない。
頼れる家族も、特別な力も、まとまったお金もない。
その日の食事を買えば、お金が減る。
宿に泊まりたくても、銅貨が足りない。
ルゥは、生まれて初めて路地裏で夜を明かす。
自分の力で食べていけるようになりたい。
温かい食事。
安心して眠れる場所。
自分の商売道具。
名前を覚えてくれる客。
少しずつ積み重なる信用。
昨日までは持っていなかったものを、今日はひとつ。
これは、何も持っていなかった小さな少年が、自分自身の暮らしと居場所を少しずつ作っていく物語。