あらすじ
戦国の世で、一つの命が終わった。
そして同じ時代――農民の子・円三郎として、新たな命が生まれる。
前世の記憶と人格を持ったまま転生した円三郎。しかし、自分がかつて何者だったのかを誰にも明かすつもりはなかった。
幼い身体で世の動きを知るため、人々の話に耳を傾け、天下の情勢を追い続ける円三郎。
やがて戦乱の中で両親を失い、孤児となった彼は、世話になった村で不可解な徴収が行われていることに気づく。
なぜ、この村だけが他の村より多く取られているのか。
わずか六歳の円三郎は、大人たちすら見抜けなかった村長の不正を暴いてみせる。
その才覚に目をつけたのが、民の声を聞くため村々を回っていた秀吉の妻・寧々だった。
寧々に拾われた円三郎は、ついに天下人へと駆け上がった豊臣秀吉と出会う。
秀吉を見つめる円三郎の胸に湧き上がったのは、なぜか喜び――そして、わずかな違和感。
「この小僧、何者じゃ?」
最初は子供の戯言と笑われた円三郎の言葉が、一つ、また一つと秀吉を助けていく。
やがて天下人は、自らその少年の知恵を求めるようになる。
だが秀吉も、寧々も、まだ知らない。
なぜ天下の動きを追い続けてきたのか。
そして――彼が前世で何者だったのか。
正体を隠した転生少年が、天下人・豊臣秀吉に進言し、その天下の行く末を変えていく。
これは、歴史の表舞台から一度消えた“何者か”が、名もなき小僧として再び戦国の世を歩き始める物語。