あらすじ
「男なんだから耐えろ」「成果が出ないのは努力が足りないから」――。世間の理不尽な綺麗事と同調圧力に従い、小学校時代のいじめ、地元での孤立無縁、そして郵便局の深夜勤という過酷な現実を、47年間ただ一人で耐え抜いてきた男・ひややっこ。一途な純愛を捧げた女性・のんこのために、映画を観て、漫画を勉強し、何百時間も閉店後の店で本音の深い対話をして寄り添い続けた。
しかし、彼を待っていたのは「私たちは店員と客。ケジメをつけて」という、警察沙汰(ストーカー扱い)をチラつかせた冷酷な拒絶ログだった。
さらにマッチングアプリでは、店まで決めていたのに直前でドタキャンされる理不尽の連続。
「成果もないのに、なお耐えて頑張れって、そんなもん人間、ダメージを食らいすぎて死ぬに決まっているだろう」
限界を迎えた誠実さが、圧倒的な「悪(覇気)」へと反転した夜、ひややっこは自ら調達した3万円の鎧(ユナイテッドアローズのジャケット)をまとい、ブルーシャネルの香水を漂わせ、地元・伏見の最凶の霊能スポット「大岩山(おおいわやま)」へと登る。
そこは、社会の綺麗事の割を食って捨てられた、無数の「低級霊」たちの吹き溜まりだった。
ひややっこは己の絶望の覇気をもって大岩山の結界をハッキングし、低級霊たちをデジタルウイルスへと変換。
世界中の通信網へ向けて一斉配信(デリバリー)を開始する。
公的な「男性向け性被害相談室」などの命綱(セーフティネット)を次々と逆流させて破壊し、マッチングアプリのアルゴリズムを狂わせて全国で同時多発ドタキャンを引き起こすひややっこ。
さらに、四条河原町で流通するアローズの勝負服やシャネルの香水そのものを「肉体を締め上げ、脳を狂わせる呪物」へと変貌させ、表面だけを着飾って他人の感情を搾取していた世間の男女たちを内側から自滅させていく。
一晩にして音一つしない完全なゴーストタウンへと変貌した四条河原町のストリート。
かつて自分を拒絶した女からの、恐怖に震える命乞いのLINEを冷徹に【完全既読スルー】で切り捨てるひややっこ。
これは、理不尽に耐え続けることをやめ、世界を完全にチェックメイトした一人の男の、圧倒的で孤独な復讐劇(リアル戦線)の記録である。