あらすじ

「今年の一番は、奥様でございます」 婚礼から三日目の朝、侍女は当たり前のことのようにそう言った。 ヴァルドレン辺境伯領では、毎年ひとり、籤で選ばれた娘が北の館へ送られる。 今年その籤に当たったのがセリカだった。家族は安堵し、彼女に礼を言って送り出した。 夫となったヴィルヘルムは、冷酷と噂される男だった。 婚礼の夜、彼はセリカの顔も見ずにこう言った。「この家のことは、何も覚えなくていい」 けれどセリカは、覚えてしまった。 この領には冬の決まりがある。雪が降るあいだ、冬名簿の順に、領民が一人ずつ森へ入る。 誰も戻らない。誰も嘆かない。順番が来た者は、自分から歩いていく。 名簿は書き換えられない。それがこの土地の作法だと、皆がそう言う。 ――今年の冬名簿の一番上に、嫁いできたばかりのわたくしの名がございました。 セリカに、怪異を祓う力はない。順番を変える権限もない。 あるのは、昨日この家に何人いたかを覚えていることだけ。 そして彼女は知る。 冷酷と噂される夫が、毎晩ひとりで名簿を書き換えようとして、失敗し続けていることを。 鐘が鳴るたび、この家から一人ずつ減っていく。 あと十一人。 ※全30話・完結まで執筆済み。毎日更新、六日目の朝に完結します。ハッピーエンドです。

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小説を読もう2026/08/26
  • 現在の作品くじで選ばれて辺境伯に嫁いだら、今年の冬名簿の一番上にわたくしの名がございました~鐘が鳴るたび、この家から一人ずつ減ります~