あらすじ
三年間、一緒に暮らした。
同じ部屋で眠り、同じ食卓でご飯を食べて、いつか結婚するのだと思っていた。
けれど、美咲は家を出ることを決めた。
新しい部屋に移るまで、あと十日。
別れることは、もう決まっている。
それなのに二人は、昨日までと同じように朝を迎える。
「行ってきます」と言えば、「いってらっしゃい」と返ってくる。
牛乳がなくなれば買い足して、夕食を作り、同じ部屋で眠る。
ただ一つ違うのは、そのすべてに「最後」がついていることだった。
最後の朝。
最後の夕食。
最後の休日。
最後の「おかえり」。
二人が別れることになったのは、愛がなくなったからではなかった。
相手を大切にしようとするあまり、自分の本音を言わなくなった。
相手を困らせたくなくて、自分が我慢すればいいと思っていた。
まだ好きなのに、別れなければならない。
別れたくないのに、このまま一緒にいてはいけない。
これは、三年間愛し合った二人が過ごす、最後の十日間の物語。
そして、誰かを愛することと、自分の人生を生きることを、もう一度選び直す物語。