あらすじ
「愛してるなんて、いらない」
高校二年生の水城詩織は、図書室でいつも一人で本を読む少年、桐谷柊と出会った。
「今、時間を止めたね。1秒くらい」
そんな何気ない言葉から始まった恋は、雨の日の帰り道や放課後の教室、くだらない会話――そんなありふれた毎日を、かけがえのないものへ変えていった。
やがて二人は恋人になる。
けれど、進学をきっかけに少しずつ二人の距離は離れていく。
会えない時間。
減っていく連絡。
言えなくなっていく本音。
そして、柊から告げられた別れ。
「ごめん」
たった一言で、大切だった日々は終わった。
それから数年。
社会人になった詩織は、もう柊を忘れたつもりでいた。
そんなある雨の日――駅前で、あの日と変わらない声に名前を呼ばれる。
「……詩織?」
振り返った先にいたのは、もう会えないと思っていた柊だった。
再会によって、止めていたはずの想いが再び動き始める。
なぜ柊は、あのとき詩織のもとを去ったのか。
なぜ今になって、再び現れたのか。
そして、柊が口にする「愛してる」という言葉に、詩織が涙を流す理由とは――。
世界で一番ありふれた言葉。
それなのに、二人にとっては何よりも特別だった。
これは、初恋を失った二人が、もう一度「愛する」という意味を見つける物語。
「愛してる」が、さよならの言葉になってしまった二人の、最後のラブソング。