あらすじ
70歳を大分過ぎたて、両親の墓参りのついでに長兄と次兄を訪ねた。長兄と次兄は仲違いしている。長兄は、子供の頃は仲良かった、と言う。その言葉がわたしを傷つけた。次兄は、子供を守るのは親の責任だ、と言う。兄たちは病弱な弟を疎外して傷付けてもよいと言うのだろうか。わたしは仲間はずれで、いわば文化的な孤児だった。
トーマス・マンに『ヨゼフとその兄弟たち』という小説がある。兄たちに殺されそうになったヨゼフは、後年、兄たちを許し、談笑した。わたしは長兄と次兄を和解させ、大きな声で笑い合うことができるだろうか。