あらすじ
人を信じることを諦めた男がいた。
どれだけ苦しくても笑い、誰かが困っていれば自分を後回しにして助ける。
自分が傷つけば、それでいい。
そうやって生きてきた彼は、いつしか「誰も信じない」と心に決めていた。
そんな彼の前に、一人の女性が現れる。
彼女は、彼が初めて自分の過去を話せた人だった。
否定せず、逃げず、彼の立場になって考えてくれた。
そして、彼の苦しみを知って泣いてくれた。
初めてだった。
「この人なら、信じてもいい」
そう思えた。
二人は恋人になり、彼にとって彼女はかけがえのない存在になっていく。
彼女と過ごす日々の中で、彼は少しずつ笑うことを覚え、誰かを愛することを知っていった。
けれど、どれだけ大切な人にも、嫌な部分はある。
彼は彼女を愛しているからこそ、不満や苦しさを何度も飲み込んだ。
「大丈夫」
「気にしてない」
「ごめん」
本当は苦しいのに。
本当は寂しいのに。
本当は、ただ抱きしめてほしいのに。
言葉にできなかった。
彼女なら、言わなくても分かってくれる。
そう思ってしまったから。
やがて、溜め込んだ感情は少しずつ二人の間にひびを作っていく。
好きなのに、傷つける。
信じたいのに、怖くなる。
離れたくないのに、距離を取ってしまう。
これは、人を信じることを諦めた一人の男が、初めて誰かを心から愛し、愛することの難しさと、自分自身の弱さに向き合っていく物語。