あらすじ

理想は権力に塗れ、神の国は修羅の巷と化した。 19世紀中期、およそ二十年にわたり中国大陸を業火に包み込んだ「太平天国の乱」。 勝者である清王朝によって都合よく美化・改竄された正史の裏には、歴史の闇に葬られた一つの極秘文書が存在した。内部崩壊を引き起こした北王・韋昌輝の嫡男が、一族の罪と滅亡の惨劇を鉄の箱に封印した『天国志』である。 本作は、その禁断の記録を底本とし、綺麗事に彩られた神話のヴェールを剥ぎ取った戦記である。 神の国(ユートピア)を夢見て立ち上がった六人の義兄弟は、巨大な権力を前に疑心暗鬼に陥り、身内同士で凄惨な殺戮劇を演じる。血の海と化した天京(首都)で、崩壊していく理想郷の屋台骨を必死に支えようとした若き二人の天才——「忠王」李秀成と「英王」陳玉成。 極限の飢餓、裏切り、そして絶対的な死の包囲網。 圧倒的な武力と絶望を前に、彼らはなぜ最後まで戦い続けたのか。極端な光(理想)が生み出した、あまりにも深い闇(現実)。泥と血にまみれながらも散っていった男たちの「業」と「執念」を、極限のリアリズムで描き出す、真実の太平天国史。

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カクヨム
カクヨム2026/08/25
  • 現在の作品『太平天国戦記』――血と泥に塗れた理想郷の真実