あらすじ
真壁直人、三十四歳。元・営業企画課長代理。
部下の仕事を抱え込み、誰にも頼れず、最後には大切な部下から退職届を突きつけられた――管理職としては、完全な失敗者だった。
そんな直人が転移した異世界で出会ったのは、剣も魔法も最強の勇者アレク。
ところが彼は、偵察も荷物運びも作戦立案も、何もかも「俺がやる」と引き受ける、部下に任せられないリーダーだった。
戦士は剣を抜くのが遅い。
魔術師は小さな火しか得意ではない。
斥候の報告には、いつも「たぶん」がつく。
僧侶は人の世話ばかりして、自分を後回しにする。
一見、頼りない仲間たち。しかし直人は気づく。
彼らに能力がないのではない。勇者が全部やってしまうせいで、力を発揮する機会がないのだと。
目標を共有する。得意を見つける。判断する範囲を渡す。失敗しても立て直せる仕組みをつくる。
剣も魔法も使えない三十四歳が、かつてできなかった「任せること」にもう一度挑むとき、勇者パーティーは初めて、本当のチームになっていく。
これは、異世界の危機を仕事術で乗り越えながら、失敗した大人が仲間とともにやり直す物語。
――世界を救うのに、勇者が四人いる必要はない。