あらすじ
冒険者ミネルヴァは、愛する仲間であり恋人でもあるテセウスを庇い、ドラゴン討伐の最中に命を落とした。
最期に彼女が告げたのは、ただ一つ。
──きっと、すぐ生まれ変わって、あなたを探すから
けれど同時に、ミネルヴァは思ってしまった。
──今、自分が死ねば、テセウスはきっと自分を忘れない、と
そんな罪深い喜びを抱いたまま、ミネルヴァは死んだ。
そして彼女は、アテナイエという子爵令嬢に生まれ変わる。
幼い頃から繰り返し見る、前世の自分──ミネルヴァの夢。
その夢に導かれるように、アテナイエは成長していく。
やがて彼女は、英雄として伯爵位を賜ったテセウスと再会する。
彼は今も独身だった。
再会できたことが嬉しい。
彼が自分を忘れていないことも嬉しい。
けれど、その喜びは同時に罪悪感へと変わっていく。
──私のせいで、彼は今も一人なのではないだろうか
だからアテナイエは、自分の正体を明かさない。
彼がいつか別の誰かと幸せになることを願いながら、ただ彼の側で過ごせる時間を思い出として大切にしようとする。
そんな中、アテナイエに別の男性との婚約話が持ち上がる。
もう、テセウスとは会えなくなる。
そう思っていた彼女の前に、テセウスが現れて──
「結婚するのか? 俺以外のやつと?」
その言葉を聞いた瞬間、アテナイエは気づく。
もしかして彼は、ずっと前から、自分が誰なのか知っていたのではないか?
これは、かつて愛する人を残して死んだ冒険者と、彼女を忘れられなかった英雄の、二度目の恋の物語。