あらすじ

「十一人分が空です」 初雪まであと十日。臨時の俸給書記マルレーネは、侯爵家の帳簿に並ぶ未払いを赤鉛筆で囲んだ。若き侯爵ドゥアルテと共同監査を始めると、消えた銀貨だけでなく、薪と借家料の流用まで見つかってしまう。 事情と責任は別勘定。十一人の俸給、親子三人の暖炉と八時間の睡眠、三十四戸の薪を取り戻すため、彼女はひたすら数え続ける。 一方、無表情な侯爵は湯を運び、椅子を寄せ、なぜか彼女の冷えた指ばかり見ていた。監査への配慮だと思っていたのに、朝食席で涙と嫉妬まで晒して求婚され――緊張したマルレーネが数え始めたのは、返事ではなく二人分の朝食当番だった。

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小説を読もう2026/08/25
  • 現在の作品無表情侯爵家で十一人分の未払い俸給を赤鉛筆で直したら、朝食席で求婚されました