あらすじ
持参金とともに辺境伯エンリケへ嫁いだ商家の娘ヒメナ。夫は金が必要だったと認めながら、金庫を封じて家政からも彼女を遠ざけた。つまり欲しいのは金だけ。ならば浪費家になって離縁されよう――そう決めたはずが、買い物をするたび、十二人の厩番の靴代、二十束の薪、二十三人の職人への未払いが見つかってしまう。片端から支払っているだけなのに、なぜか屋敷は立ち直り、夫は支払日に椅子を持って現れるように。最後の晩餐で十四か月分の請求書と家政の管理印を突きつけた時、ヒメナは金庫の鍵を食卓へ置く。ところがエンリケが求めたのは鍵ではなく――。離縁したい妻と、配慮を盛大に間違えた夫が、暮らしの勘定から婚姻を選び直すお話。