あらすじ

十二の月、十人の男、定められた訪問暦。 北から南の集落へ渡った鱗人の武具師シスは、共同体の秩序に従い、炉を守り、武具を鍛え、自らの身体さえ公平に差し出してきた。 だが暦が与えるのは訪問する権利であり、触れる義務ではない。 拒否、延期、途中停止。 誰かを選ぶこと。選ばないこと。 そのどちらでも共同体の一員であり続けること。 武具に残る傷、脱皮した鱗、消された母の名、改竄された古い規則。シスは身体と記録に刻まれた履歴を手掛かりに、「囲うな」という戒めが「選ぶな」という命令へ変わった歴史を暴いていく。 これは、制度へ反逆する物語ではない。 制度の中に、自分の意志が生きられる場所を鍛える物語。 選ぶ。だが、囲わない。 鱗と炎と記録をめぐる、官能制度幻想譚。

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カクヨム
カクヨム2026/08/25
  • 現在の作品翡鱗の鍛冶師