あらすじ
「エルナ・フォン・ラングフェルト。お前との婚約を破棄する!」
王立魔法学園の卒業パーティー。婚約者ロイドは大勢の貴族の前で、そう高らかに宣言した。隣には潤んだ瞳の男爵令嬢ミアを侍らせて――「真実の愛を見つけた」と。
でも、残念ね。
わたしは前世で日本のアンティーク鑑定士。今世でも魔道具鑑定を極め、在野の凄腕鑑定士として密かに名を馳せている。あなたたちの結んだ『偽物の愛』も、実家の魔泉の鉱脈を狙う不正な企みも、とっくに見抜いているのよ。
ロイドが嘲笑う母の形見の指輪――それは彼が知らない国宝級の魔道具。所有者の願いを、たった一度だけ叶える伝説の品。
ずっと悩んでいた、この一度きりの魔法を何に使うべきか。でも、決めたわ。
「――『わたしの中の、あなたへの想いをすべて忘れさせて』」
報われない恋を捨てた指に触れる、新しい光。そして氷のように冷たいはずの王太子殿下が、なぜかわたしに手を差し伸べて……。
この求婚、本物かしら? ――偽物を見抜くのは、得意なんです。
痛快な逆転劇と、じれったくも甘い恋のはじまり。悪くない使い道、でしょう?