あらすじ
「なにがあろうと最後までいっしょだって言った。夕闇がおとずれ、たとえ道にまよってもな、と。木が生い茂る山のなか、ほそく、ながい道を歩いていた。とても寒かった。俺はコートの上から毛布をかぶっていた。雪が積もっていた。肩を並べて歩こうと言った。歩調を合わせて。たがいの呼吸が聞こえるようにな、と。だけど、どうしても、知らず知らずのうちに差がつくんだ。親父の方が歩くのがはやかったからね。親父はわかくて、俺はいまよりちょっとわかいくらい。足のながさや体格に差はないはずなのに、それでも、親父だからだろうな、『父さん!』って――」