あらすじ
人を操るのに、命令は要らない。
与える情報を選べば、人は自分の意思で、望む方向へ歩いていく。
天正九年、丹波。明智光秀のもとに、堺の商人が世界地図を持ってきた。日の本が、指先ほどの小ささで描かれた紙だった。
柴田は北陸に。羽柴は中国に。滝川は関東に。細川は、三十年来の友。
彼らが光秀に語ったことは、すべて事実である。
嘘は、ただの一度もなかった。
命じられてもいない。脅されてもいない。
ただ、光秀がある結論に至るように——「真実の見せ方」だけが、選ばれていた。
天正十年六月二日、本能寺。
光秀は最期の日まで、自分の意思で決めたのだと信じていた。
そして、それは間違いではなかった。
※本作はフィクションです