あらすじ
公爵夫人の身代わりを、十年。奥様が亡くなった三日後、家令はわたしに言いました。「奥様は、明後日の茶会に出席なさいます」
病弱なアデライド様の代わりに社交へ出るのが、侍女わたしの仕事でした。茶会の席次も、晩餐の卓も、家門評議の座も——十年ぶん、全部わたしが組んできました。その紙のどこにも、わたしの名前はありませんけれど。
奥様が亡くなっても、屋敷はわたしに「続けろ」と言います。
旦那様は、気づいておられない。……そう、思っていました。
夫の名を騙る妻の身代わりに、公爵ヴァレン様が向けた最初のひとことは、わたしの本当の名前でした。
叔母上の追及、王家の家門監査、出されないままの死亡届。危ういのは全部、わたしが組んだ席次で切り抜けます。
第1部(全20話)完結。読後は明るく着地します。
「バレるかどうか」より「なぜ黙っていたのか」が気になる方、静かな駆け引きと、名前を呼ばれるだけで胸が鳴る話が好きな方へ。
※ざまぁは遠景・控えめです。溺愛も声高ではありません。主軸は身代わりの二人の関係にあります。