あらすじ
――十四の春、メルフィーユ・ヴェルグレイは死神の花嫁になった。
そして二年後。
死んだはずの夫は、同じベッドで眠っていた。
十四歳の、ビスクドールのような姿で――。
十二歳で王命婚約、十四歳で「戦場の死神」と呼ばれる年の離れた英雄アシュレイ・ヴェルグレイに嫁いだ侯爵令嬢メルフィーユ。
だが輿入れの日、夫は大逆の罪人として消え、彼女は爵位も財産も失い、遠く村外れのあばら家へ追いやられる。
それでも彼女は、死神の未亡人と呼ばれることを頑として拒み続けた。だって、死神は死んだりしない――そう信じて、二年。
雪の降る夜、あばら家に現れたのは、記憶を失った、ビスクドールのように美しい少年だった。喉元に刃を突きつけられても、なぜか懐かしさが勝ってしまう。メルフィーユは彼を「シュシュ」と名付け、正体を知らぬまま、二人だけの暮らしを始める。
蜜蜂と暮らし、蜜蝋で家を直し、蜂蜜で菓子を焼く。貧しくも温かい日々の中で、少年は少しずつ、人を守ることの意味を思い出していく。過保護な庇護は、いつしか、隠しきれない独占欲へと変わっていた。
けれど彼女は、まだ知らない。
隣で眠るその人こそが、ずっと待ち続けていた、顔も知らぬ夫その人だということを――。
これは、死神と呼ばれた男と、その帰りを待ち続けた少女が、 もう一度「夫婦」になるまでの物語。
※校正にAIアシスタントを使用しています