あらすじ
数年前から、世界各地で囁かれるようになった《ゲート現象》。
突然現れる謎の光。
目撃される未知の生物。
説明のつかない怪現象。
だが世間では、そのほとんどが都市伝説やデマとして片付けられていた。
工学部に通う大学生・神代拓真もまた、そんなゲート現象を追い続ける一人だった。
実家の町工場で働きながら、怪現象を調査する底辺配信者として活動する日々。
登録者は少ない。
金もない。
けれど、拓真には子供の頃から変わらない夢があった。
――いつか、ヒーローになりたい。
人間は空を飛べない?
なら、飛べる装置を作ればいい。
人間は怪力を持っていない?
なら、強化外骨格を作ればいい。
ビーム兵器が存在しない?
――だったら、それも作ればいい。
天才的な頭脳と町工場の設備、そして大学の研究室まで使いながら、拓真は密かに夢の装備を作り続けていた。
そんなある日。
拓真はついに、本物のゲートと遭遇する。
ゲートから現れたのは、地球には存在しない魔獣。
そして、その魔獣から得られた未知の素材と《魔石》は、これまで地球の科学では越えられなかった壁を次々と壊していく。
軽くて強靭な外殻。
膨大な魔力を蓄える魔石。
重力すら無視する未知の物質。
「……これなら、本当に作れるんじゃないか?」
地球の科学技術と異世界の素材。
その二つを組み合わせ、拓真はついに全身を覆う鎧型強化外装《アーマー》を完成させる。
そして自らゲートを越えた先に広がっていたのは、剣と魔法、魔獣と魔石、そして魔道具が存在する本物の異世界だった。
珍しい素材を集めて帰るだけ。
――そのはずだった。
魔獣に襲われる商人を助け。
盗賊に狙われた村を助け。
困っている人を見るたび、放っておけずに首を突っ込んでいく。
やがて異世界では噂が広がり始める。
魔法を使わず怪力を振るい。
見たこともない武器を操り。
奇妙な鋼の鎧を身に纏って、人々を救って去っていく正体不明の男。
人々は彼を――《鉄の騎士》と呼び始めた。
本人はただ、未知の世界を冒険して、新しい素材でアーマーを改造したいだけなのに。
「いや俺、素材採取に来ただけなんだけど……」
これは、ヒーローに憧れ続けた一人の青年が、
異世界の魔法と地球の科学を組み合わせ、本当にヒーローになっていく物語。