あらすじ

粗末なアパルトマンで、医師エーレントはテレシウスの帰りを待っていた。 いつもふらりと出て行き、血の匂いをまとって戻ってくる白銀の男。 一緒に暮らそうという誘いを断ったのは自分だった。 だからこそ、いつ終わるか分からない今の暮らしを、エーレントは壊れそうな宝物のように大切にしている。 その日、ようやく帰ってきたテレシウスは、劇薬ヴェノムに侵され、死の淵にいた。 必死に治療するエーレント。 幻覚の中で、ただ彼の名を呼び続けるテレシウス。 そして一昼夜を越えたあと、二人はまた、血の匂いと薬湯の湯気が混じる小さな部屋で食卓を囲む。 これは二百年前。 まだ何者でもなかった二人が、失うことを恐れながら守っていた、小さな日々の物語。

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小説を読もう2026/08/25
  • 現在の作品神鼠の大王は猫を愛せない【二百年前譚】エーレントの宝物