あらすじ
大王の親衛隊長テレシウスは、鼠族の名家に煙草を売り込みながら、ある準備を進めていた。
自邸の一室に、机と椅子、本棚、寝台。
すべては、猫族の王エーレントをいつでも迎えられるようにするため。
けれど、命よりも信念を優先するエーレントが、その部屋へ来ることはないかもしれない。
それでもテレシウスは、彼のための部屋を整え、夕日色の耳飾りを手に、エーレントの待つ街へ向かう。
そこでは今日も、改革を進めるエーレントが命を狙われていた。
守りたいテレシウスと、守られることを拒むエーレント。
激しくぶつかりながらも、二人はいつものように煙草を分け合い、食事をし、くだらない言葉を交わす。
いつか、あの部屋へ迎えられる日を願いながら。
これは二百年前。
まだ二人が同じ夜を過ごし、互いの帰る場所になろうとしていた頃の物語。