あらすじ
病も怪我も、白い壺へ流せば消えてしまう。
生贄候補として神守家へ買われた、明るい少女サヨと、無口で字の読める少女・鈴。
二人は、人から抜いた病や傷を代わりに引き受ける「受け手」の候補として、同じ屋敷で暮らしていた。
今夜、サヨが受け手として床下へつながれれば、二度と外には出られない。
次は鈴。その次には、また別の誰か。
けれどサヨには、病を白い糸として見分け、一つずつ扱う力があった。
受け手を免れ、人々を救う仕事を始めたサヨは、鈴を「予備」から外すため、神守家の頂点である祭主を目指す。
サヨが前へ出て、鈴が隣で支える。
二人で患者の名前を覚え、傷を見分け、少しずつ屋敷の中に自分たちの居場所を作っていく。
いつか二人でここを出る。
そのためなら、どんな役目だって乗り越えられるはずだった。
しかし、神守家に残された記録には、一つだけ奇妙な欠落があった。
白い壺は、一度も空にされたことがない。
消えた病は、どこへ行ったのか。
治ったはずの傷は、本当に消えたのか。
二人で始めた仕事の底には、誰にも見せられないものが沈んでいた。