あらすじ
婚約破棄された夜、辺境伯令嬢リナリアが向かったのは――舞踏会でも自室でもなく、潰れかけた廃工房だった。
王都の商会に借金を握られ、職人は去り、領民は寒さに震えている。
そして彼女には、前世の記憶があった。
日本の小さな町工場で、二代目社長として現場を走り回った記憶が。
「高級な材料がない? なら、安物で壊れないものを作ればいい」
使うのは、王都では屑扱いされる低品質魔石《濁り石》。
作るのは、多少の魔力変動では止まらず、危険なときだけ安全に火を落とす小型魔導炉《常火》。
泥まみれになって炉を直し、
失敗は《失敗帳》に残し、
職人には正当な賃金を払い、
製造番号を付け、
修理できる人間を育てる。
前世では当たり前だった「ものづくり」が、この世界では革命だった。
やがて一台の炉から始まった廃工房の再建は、辺境の暮らしを変え、王都商会の独占を揺るがし、ついには王国そのものを動かしていく。
そして、泥だらけで働くリナリアを誰より正しく評価したのは、忖度を知らない王国調達監査官エルネストだった。
これは、婚約を捨てられた令嬢が「選ばれる女」になる物語ではない。
職人と技術と記録を武器に、自分たちの仕事の値段を自分たちで決められる場所を作る物語。
婚約破棄×町工場経営×異世界ものづくり。
泥臭く働く辺境令嬢の、工房再建ファンタジー。
※アカウント削除による再掲です。
前回掲載字のレビューコメント(お名前は伏せています)
★★★ Excellent!!!
「読んでいる時の脳内BGMは地上の星」
読んでいる間、中島みゆきさんの地上の星が頭の中でずっと流れていました。第40話はヘッドライトテールライトでした。ものづくりの物語は様々な作品がありますが、一際泥臭いけれど痛快な読後感で楽しく読ませて頂きました。
★★★ Excellent!!!
「ドラマ化で良いのでは」
下町工場のドラマが成り立つんだから、これもイケるでしょ…。
と思うくらい王道のお話だけど、よくできていると思いました。
★★★ Excellent!!!
「前世の経験から職人を大事にして王都の大商会に対抗して頑張るのが清々しい」
前世の経験から1人で頑張るのではなく、周りの人達に助けられながら、大商会につけいられないように、考えられることを積み上げて対抗して行く姿は応援したくなる。話に引き込まれて読み切った。読み応えのある作品です。数々の横槍や、妨害にも負けず、コツコツと地道に実験を繰り返すのがすごい。そして常に貧しい人や弱い立場の人に寄り添って、しかもそれに流されず自分たちも守り切ったのは、素晴らしいと思います。